寺宝

見返阿弥陀立像

 この阿弥陀像は、その昔永観律師が行道念仏(仏の周りを念仏を唱えながら回る)を行じた折、律師が眠気のため立ち遅れたので先導していた如来が「永観おそいよ」と後ろを見返られたという説に基づき作られた像とされ、有名であるが全国でも数少ない像である。
 また360度周りの人々すべてを救いたいという誓願を表している像である。

第十一 羅怙羅尊者

 山門上にまつられている十六大羅漢のうちの一体で、黄檗山万福寺の像と同じく中国仏師范道生の作風をうかがわせるものである。
 釈尊の出家前の実子であり、父を慕って出家し、修行によって得た真実の悟りの姿(仏性)を見るようにと腹を自らの手で開いた姿をした珍しく、数少ない羅漢像である。

霊鐘

 加賀藩第12代藩主前田斉広公は文政6年(1823年)に竹沢御殿の時鐘を鋳造した。その鐘が枕辺に現れて「天徳院に行くを望む」と言った。斉広公は不思議に思われ「この梵鐘の響きを聞くものはすべてその苦悩を免れると聞く。冥福荘厳の天徳院へ行くことを欲するも道理あること。梵鐘情をもって、我らを教化する仏縁不可思議である。速やかに天徳に送るべし。」とのご下命により天徳院に移された。

菅氏大宗祠

 菅氏とは菅原道真の子孫である前田家をあらわし、ここ天徳院は前田家を祀る大殿堂(大宗祠)であるという扁額である。明(中国)の僧、黄檗宗第5代管長高泉和尚の書によるものである。

葫蘆様釜

 天徳院第3世月爬道印和尚が鋳物師初代宮崎寒雉氏に命じて作らせた禅宗寺院茶釜に相応しい逸品である。
(平成12年10月24日 石川県指定有形文化財指定)

存星卓(蒟醤卓)

 中国の明時代(桃山時代)の作といわれているもので、天徳院建立の際、加賀藩3代藩主前田利常公から寄進されたものである。
(平成3年3月31日 金沢市指定文化財指定)

珠姫様お手作り紙雛人形

 この紙雛人形は、前田家家臣石黒家に代々家宝として伝えられてきた珠姫様お手作りの雛人形である。
この雛人形は雛人形の古形といわれる立ち雛の形態で、淡い色彩、広げた小袖に各々描かれた徳川家の葵の紋様、梅花の紋様(前田家の梅鉢紋とは異なっているが)金色が消えそうな袴、女雛の胸元に合わせた袖などは、当時の堅実で素朴な風姿がうかがわれる。

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